あかねちゃんがんばる


‥‥‥この夏『働いてばかりで全くいいことが無かった』とお嘆きのM氏に、この物語を捧げます(^^;)‥‥‥

数日前の大雨が嘘だったように晴れたある日、、、
テント住まいの小鬼の3人兄妹はぐったりしていました。
「ぁぁ〜 お、、、おナカ空いたっピ〜〜」
末っ子のキすけが力なくつぶやきました。
数日前の洪水で、ため込んでいた食料を流されてしまった兄妹は、ここ3日何も食べていませんでした。
「はぁ〜、、、、、、」
長男のアオべぇもぐったりとしています。
「そんな事言ったって、何も食べるものないんだからしょうがないじゃない!」
唯一あかねちゃんだけが空腹に持ちこたえているようです。
「でも、あかね。このままじゃ冗談抜きに餓死しちゃうでゴンス〜」
流石のアオべぇも現在の自分達の状態が心配なようです。

「よしっ! アタイがなんとかしてみるよ」
そう言うとあかねちゃんはテントの隅を探しだしました。
「あかね、まだ何か食べるものがあるんでゴンスか?」
あかねちゃんが取り出したのは何の変哲もない1枚のはっぱです。
「そんな物どうするっピ?」
「あんたたちは知らないだろうけど、アタイはこの葉っぱで人間の姿に変身する事が出来るんだヨ」
そう言うと葉っぱを頭の上に乗せて何やら呪文のようなものを唱えはじめました。
みるみるうちにあかねちゃんの体が煙につつまれてゆきます。

「あっ! あかねお姉ちゃんすごいっピ」
煙が晴れた後には人間の姿をした女の子が立っていました。
「流石のアタイもこの角だけはどうにもならないんだけどね、、、」
確かに頭には鬼の名残りである角が生えています。
「でも、人間なんかに化けてどうするつもりでゴンス?」
「うん、人間の世界で働けば『お金』ってモノが手に入るから、、それでなにか食べ物買ってくる‥‥」
ちょっと困ったようにあかねちゃんが答えました。

後を付いてこないように二人に言い残すと、あかねちゃんはテントを離れ、夕暮れ迫る隣街に向かいました。
確かにこれからあかねちゃんは働こうとしているのですが、、、そんな簡単に仕事が見つかる訳ではありません。
実はあかねちゃん、夜の街に立って客を取ろうとしているのです。

人間がそうゆう事をすると知ったのはゴミ捨て場にあった雑誌からでした。
おマセなあかねちゃんは、雑誌を丹念に読んでいたのでとっさにこの方法を思い付いたのです。
しかし、、、あかねちゃんが読んでいたのはロリコン向けの、しかもかなり過激なマンガでした。
そうとは知らないあかねちゃん、ネオンがきらびやかに光る、隣街の飲み屋街にたどりつきました。

初めての街なので流石にキョロキョロしちゃいます。
暗くなって間もないのに、すでに酔っぱらったサラリーマンたちがあかねちゃんの脇を通り過ぎてゆきます。
勇気を出して、あかねちゃんはそのうちの一人に声をかけました。
「あの、、、すいません、、、」
「ん?何だい?お嬢ちゃん」
「子供がこんな時間にこんなとこウロウロしてちゃいけないよ」
「宿題やったのか?」
酔っぱらったサラリーマン達が、あかねちゃんにからみます。
「何だ?コレ?」
そのうちの一人があかねちゃんのツノに気がつきました。指でぐりぐりと引っ張ります。
「痛ぃっ!」
思わずあかねちゃんが悲鳴をあげました。
「こ、、、こいつ角が生えてる」
あかねちゃんが鬼だと気がついた酔っ払い達の顔色が変わります。
「お、、、鬼だ」
「鬼だ!」
「鬼娘がいるぞ!」
酔っぱらい達の言動に恐くなったあかねちゃんは、その場から逃げようと走りだしました。
「逃げる気だぞ!」
「待てっ!」
酔っ払いも走って追いかけてきます。
「待てえっ!」
「鬼だぞ!その子を捕まえろ!」
あかねちゃんは泣きながら人込みを分けて走り続けます。
どこをどうやって走ったのか、もう無我夢中でした。







何とか酔っぱらいたちから逃れたあかねちゃんの目に、涙が浮かんでいました。

人間には色々なのがいるとは知っていましたが、こんな恐い思いをしたのは初めてです。
あたりを見回すと、、、今自分がどこにいるのかも判らない事に気がつきました。
辺りかまわず走ったので、道に迷ってしまったのです。
繁華街はどの道も同じように見えて、全く方向が分かりません。
「くすん、、、アオベぇ、、キすけぇ、、」
べそをかきながらあかねちゃんは、行く当てもなくとぼとぼと歩き出しました。





ふいにシャツのすそを引っ張られて、M氏は立ち止まりそうになりました。
給料日の今日、ちょっと飲みに行こうかとも考えていたのですが、、
色々と欲しいモノもあるし、、払っていない電話代もあるし、、、ここは一つ我慢して、、
と家路を急いでいた矢先の事です。

この界隈は飲み屋やソープの客引きが多いので、無視して立ち去ろうとした所、、、
「ぁのぉ、、、、」
後ろからかけられた声はどう聞いても女性、しかもかなり幼い感じです。
思わず振り向くと、、、、、
そこにはピンクのワンピースを着た少女が申し訳なさそうに自分を見上げていました。

「‥‥‥」
思わずM氏は声をつまらせます。
実は、、、何を隠そうM氏は『ロリ』の気があったのです。。。。。(^^;)

























------ つづく ------


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