「ありがとう、おにいちゃん。もうここまで来れば、あかね、帰り方わかるよ」
町外れの国道まで来た二人の姿を街灯が照らしています。

「あ、、、そうだ。いけないいけない。忘れるとこだった」
M氏はサイフを取り出すと、少し考えて3枚のお札を渡しました。
「え、、、、?」

あかねちゃんもすっかり本来の目的を忘れていたようです。
「わぁ、、、紙のお金だ〜。あかね、初めて見るよ。 これ、、、いくらあるの?」
「ん〜と、、、3万円。 大体、、、ソノ、、、相場だと思うんだけど、、、」
相場なんて言葉を言われても、あかねちゃんにはさっぱり判りません。
でも、すごいお金だという事はなんとなく分かりました。

「これでいっぱいごはん買えるかなぁ?」
3万円というお金の単位がわからないあかねちゃんが、嬉しそうにM氏に聞きました。

「そうだな、、、え〜と、、、さっき食べた牛丼。あれなら60コ買えるよ」
「ろくじゅうっ!?」
鬼娘のあかねちゃんもそのぐらいの単位の数なら知っています。
あまりにびっくりしたせいか変身が少し解けて素のあかねちゃんに一瞬もどります。

「また、、、そのぉ、、、ナンだ。 何か困った事があったら‥‥お兄ちゃんの所においで」
「うんうんっ!またくる。ぜったい来る、、、、だって、、、あかね、、、おにいちゃんの事、、、好きっ」
あかねちゃんが飛びつくように、M氏にきゅっと抱きつきました。
「ぁははは‥‥」
少し困ったようにM氏が力ない笑いを浮かべましたが、本当は結構嬉しいようです。

「じゃぁ、あんまり遅くなると心配するから、早く帰っておあげ」
「うん! おにぃちゃん、バイバ〜イ」
そう言うと、あかねちゃんは手をふりながら夜の闇の中に消えてゆきました。

「ふぅ‥‥」
帰ってゆくあかねちゃんの姿を見送ると、M氏は一息つきました。
「あかねちゃん‥‥かぁ、、、、」
ポケットからタバコを取り出すと、火をつけて深く吸い込みます。

「でも、、、、流石にコレは、、、、掲示板には書けないな」
そう呟くと、紫煙をくゆらせながら、M氏も家路につきました。


------ おしまい(^o^) ------


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