そこには、、つい先ほどまで誰も居なかったフロントロビーには、、
正装をした人達が大勢いた、、、

まり:、、、、な、、何? これ、、、
   こんな夜中に何かのパーティかしら?

   それにしても、、さっきの坊や、、
   私を待っているって言っていたけど、、

ボーイ:今晩わ、安藤まり子様でいらっしゃいますね?
まり :はぁ、、はい、、

ボーイ:『ホテル・グラント』へようこそ。
    我々一同首を長くしてお待ちしておりました。
    どうぞ、心ゆくまでおくつろぎ下さい

まり:あ、、あのぉ、、ちょっと待って下さい。
   これ、何かのパーティですよね、
   私、招かれてなんかいないんですけど、、

ボーイ:いいえ、ここに貴方様がおられる事自体が、我々がお招きした証拠です。
    さあ、こちらへ、、

まり:は、、はぁ、、
   でも、、これ何のパーティですか? ずいぶん外国の人が多いみたいですけど?
ボーイ:はい。皆、クレディ様のお誘いを受けた方ですから、、

老人:やぁ、先ほどはどうも。お楽しみ頂けましたかの?
まり:?? あ、、あの、、、???

まり:……!!や、、やだ、、

老人:ククク、、思い出して頂けたかのぉ?
まり:や、、やだぁ、、わ、、私、、そ、、そんな、、

老人:何も恥ずかしがる事はない、
   私は君の心の底に眠っている願望を再現したまでだ。
   まぁ、少々私なりの趣向はこらしているがね。

まり:そんな、私、、

老人:おや、、否定しますか? ククク、、
   何でしたらもう一度貴方の肖像を書いてさしあげても構いませんよ?
   今度はもっと大きなのをね、、、


加藤:マイアート様、それは困りますね。
まり:か、、加藤マネージャー??

加藤:まだまだ他のお客様もお待ちになっていらっしゃいます、順番は守って頂かないと、、、
老人 :クク、判っておる。少しワシの創造物の感想を聞いたまでじゃ

まり:加藤さん、、ですよね、、、

加藤:そうですよ、安藤さん。どうでしたか?中庭の居心地は?
まり:な、、何が起こっているんですか?このホテル、、

加藤:今ここに集まっていらっしゃるのは、皆死んだ人達ばかり。

   このホテルを設計したティルバート・クレディという人はご存じですか?
   彼は名前が売れ始めた頃に妻子を事故で亡くしましてね。

   無き妻子をしのぐ意味もかねて、作り出す建物に、巷にはあまり知られていない霊的な工法を試みたんです。

   具体的には分かりませんが、築材や方位、内装などを合ったものにするそうです。

   その結果こうやって色々な死者が集まって来ます。
   ただ、クレディ氏の計算外で、集まってくる方に随分と片寄りがありまして、、

加藤:このホテルの場合、ずいぶん性的快楽に趣向がある方達が多い様でしてね。
   自分たちと同じ嗜好を好む者しか介入させてはくれませんが、、、

まり:そ、、そんな、、わ、私、、快楽主義者なんかじゃない、、、
加藤:いいえ。彼等は私たちの心の奥をよく知り尽くしています。
   あなたがそうは思っていなくても、自分で気付かない願望があるものです。

   先程2階で何名かの方にもてなしを受けたでしょう?
   あまり記憶がないかも知れませんが、イヤでしたか?
まり:………………
加藤:ゲストであるあなたを愉しませる方法は色々ですが、
   基本的にそれはあなたの望むことを施しているだけなんですよ。


少年:あ、お姉ちゃん、こんなところにいた!

少年:ねえ、加藤さん、もうじき時間が終わっちゃうよぉ。
加藤:ああ、いけない。ついつい話し込んでしまいました。

老人:そうじゃの。ま、わしは愉しませてもらったからの、そろそろおいとましようか、、
   安藤さん、、だったかの、、次に合うときはもっと大きな絵を書いてさしあげよう、、、
   ククク、、楽しみにの、、
加藤:そうですね、皆さん久しぶりに集まられて、疲れた方も多いようですから、、
   君、お部屋の方に皆さんをご案内して。
ボーイ:はい。 それでは安藤様、失礼します。

少年:じゃあ、ボクも部屋に戻らないと。

   ウフフ、お姉ちゃん。今日はとっても面白かったよ。 またエルとぼくと3人で遊ぼう

加藤:さあ、そろそろ夜のホテルの時間が切れる頃だ、、
   元の世界に戻れば今起こったことは、うら覚えでしかないでしょうが、
   あなたには彼らの誘いがまたあるはずです。

加藤:そんな時はこの鍵を使ってください。
   あなたが望むならいつでも彼等のパーティに参加できます。
   私も、元の世界に戻ります。それでは、、、ごきげんよう、、

まり:あ、、加藤さん、、、、ま、待って、、、
   な、、何? 体が、、動か、、ない、、、
   ・・・・・






……………  中庭  ……………
まり:ゆ、、夢??
   ち、、違う、、、夢なんかじゃない、、、、

   この鍵、、、

   まぎれもない事実だったんだ、、、、
   …………
   もう、、遅いから帰ろう…………












…………あれから 1ヵ月が過ぎた ……………

まり:あ、、今日わ、市川さん


市川:あれ?まりちゃん、今日は休みじゃなかった?

まり:う〜ん…何となく‥ 来ちゃった…
市川:ふぅ〜ん、、まぁ…イイけどね…‥

まり:じゃぁ、また後で…
市川:うん‥‥ そうね。 また後で…‥

今まででは気がつかなかったけれど、市川さんも私と同じ、
「あの人たち」に誘いを受けて、鍵を持つ一人。

あのパーティが開かれる日には、言葉で言いあらわせない不思議な 感覚が体に宿る。
そんな日はこうやって鍵を手に、12時を待つ私の姿がこのホテルにはある。

さあ、、今夜はどんな人に会えるのだろうか、、、、、

 ……………『影を写さないホテル』 終 ……………


‥‥スタック肛房へ戻る         ‥‥ハズカシい言い訳を聞く


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