どうしてもこの季節のアルバイトは、給料がいいものを探せば、必然的にキツイものになってしまう。
時間的にも肉体的にもだ。

結局……その日僕が仕事を終えたのは11時過ぎだった。

ふと…空を見上げると…漆黒の闇の中から小さな綿帽子が舞い降りてきた。
「…ふぅ…雪かぁ…‥寒い訳だ…‥」

滑りやすくなった道路に気をつけながらアパートに向かう。

「‥…待てよ…‥こりゃ…ひょとすると…‥」
僕が予定しているアルバイトは天気に左右されるので……明日の仕事は無くなるかもしれない。

ほっと肩から荷が降りたような気分だ。

確かにアルバイトが入らないと、お金には多少困る‥‥
でも、こんな日くらい、煉美と2人でゆっくりしてもいいんじゃないか?
何となく、この雪が僕達にとってのプレゼントのような気がしてきた。


明りのついた部屋に戻る‥‥何とも心安らぐ瞬間だ。
たとえ僕の事を待っている住人がもう眠っていたとしても……


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結局僕が予定していたアルバイトは、雪で中止になった。
予定していた収入が減ったのは仕方なかったが、煉美が大喜びしてくれたので気にならなかった。

「わぁ〜っ!! おにいちゃん!雪だよ!ゆき!」

夕べ降り続いた雪は、一晩で見なれた景色をまっ白に変えていた。
全く足跡の付いていないグラウンドで、煉美は子犬のようにはしゃぎまわる。
「うわ〜ぃ!やったあ〜 一番のりっ!」

流石に雪が降ったとはいえ、こんな朝早くから外に出て遊びまわっているのは僕たちだけのようだった。



「ねえねえ!ゆきだるま作ろう! う〜んとおっきいの♪」
「よっし、手伝うよ どうせなら目立つように、どまん中に作ってやろう」

暫くすると、広いグラウンドの中心に、少々土気色の混じった雪だるまが完成した。
また少し雪が降り出した鉛色の空の下、随分あたりは寒くなってきた。

「なかなか立派じゃないか。また雪が降って来たから、暫く溶けないぞ、コレ」
僕も満足そうに煉美の肩程もあるオブジエを見下ろした。

「はぁ…はぁ‥・そ〜だねっ!」
煉美が自分の手に息を吹き掛けながら答える。
ふいにその体がぶるぶるっと震えた。

「…‥‥‥」
「どした?」
「‥‥おしっこ‥……」

体を動かしているうちは平気だったが、急に冷え込んだからだろう。
そういえば……今朝は雪が降ったと、すっ飛んでいって…多分彼女はトイレに行っていない…‥
「ウチまで我慢できるか?」
「……だめだよぉ…」

僕はあたりを見回した。
幸い結構な勢いで雪が降っている。それに加えて、グランドには僕たち以外誰も見えない。

「ここでしちゃえよ、雪が降っているから見えないよ、誰もいないし」
「えっ…えっ…‥でもぉ‥‥‥」
「大丈夫だよ。お兄ちゃんが見張っていてやるから」

そんなやりとりをしながらも、煉美はその場で歩いているように、腰をモジモジ動かしている。
「おもらししちゃうより…いいだろ?」
「だっ…だめっ…‥もれちゃう‥‥もれちゃうぅ‥…」

流石に耐えきれなくなった煉美は、息も荒々しくパンツを下ろそうとしたが、タイツがひっかかって上手く降りない。

「きゃっ!」
ふいにバランスを崩して、雪の上にしりもちをついてしまった。
その衝撃で、我慢していたものが僅かに飛び出る。

それでも何とか衣類におしっこがかからないよう、反射的に足を広げる。
立ち上がろうとするが、押し寄せる尿意には耐えられない。
「だめっ! 出るっ!出ちゃうっ」
のけぞるように腰を上げる。

開いた脚の間から戸惑いながらのように、黄金の液体がちょろちょろと流れ出した。

「やぁっ…‥あっ’’’ぁあっ‥……!」
煉美は必死に止めようとしたが、次第にその勢いは増してゆく。

「はぁ…‥ぁあ〜ん‥…見ちゃいや〜☆」
雪に吸い込まれてゆく液体を見つめる煉美の顔に、快楽とも苦痛ともつかない表情が浮かぶ。
「しょぽぽぽぽぽぽ‥‥……」
本人の意志とはうらはらに、煉美のおしっこは幸せそうに、ほくほくと湯気をたてながら、雪の上に黄色いしみを作っていった。



「はぁ…はぁ……」
結局全てを出し付くしてしまった彼女は、余韻を楽しむように呆然としていた。



「さ‥雪も強くなってきたから、そろそろ帰ろう」
「‥‥……」
煉美は泣きそうな顔をして、無言で僕に訴えた。

「何だい?今度は…‥」




------ つづく------


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