「??、、、なんだろ?」
れんちちゃんは、ぬか壷の底に向かってさらに深く手を潜らせました。
その時です!
「?!☆」
ぞわぞわと細い管虫のようなものが、れんちちゃんの手に絡み付くように壷の中から表れました。
『ぬ〜っかぬっかぬっかぬっかづけ〜♪お肌スベスベしちゃいましょっかぁ? 〜ぬっかぬか〜♪』
歌とも呪文ともつかない声が壷の内側から聞こえてきます。
ぬるぬると細い体をうねらせながら、触手がれんちちゃんの体に這い上がってきました。
これがお爺ちゃんが、ぬか漬けの壷に近寄らないように言った理由でした。
博士特有の糟床は文字どおり特別製で、持ち主以外の人間が手を触れようとすると、ぬか菌が変身。
防御機能として、闖入者に襲いかかる仕組みなのです。しかもその変身能力はただものではありませんでした。
「ひぃっ!!」
あまりの出来事に、れんちちゃんは腰を抜かして立ち上がる事が出来ません。
触手たちの力は見た目よりも強く、まるでれんちちゃんを壷の中に引きずり込んでしまうほどでした。
必死に手を引き抜こうとしてもかないません。
触手たちはれんちちゃんのセーターの袖に潜り込み、肩先まで這い上がって来ました。
◆-- つづく--◆